楽にスッキリ暮らしたい

湘南・辻堂の整理収納アドバイザー・佐藤ようこです。楽にスッキリが続く家づくりのアイデア帳。北欧デザインの話も。

最後の1ミリを握るのは自分/塩谷舞『ここじゃない世界に行きたかった』

塩谷舞さんのデビュー作「ここじゃない世界に行きたかった」を読みました。

ここじゃない世界に行きたかった

ここじゃない世界に行きたかった

  • 作者:塩谷 舞
  • 発売日: 2021/02/25
  • メディア: 単行本
 

とても良かった。巻頭や表紙の写真が静謐で美しく、それも相まってか文章の隅々まで無駄のない清らかさを感じた。

「視点の異なる友人が一人いる」―それくらいの感覚で、読み進みていただければとても嬉しい。

この押しつけがましくないポジショニングがとても好ましくて、何かにつけて炎上するこのご時勢、この距離感がどの場面においても必要なんじゃないかなと感じさせられた。

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全然関係ないけれど、ひな祭りに一人で楽しんだ桜餅。

過去の歩みを知ることは、いまの解像度を上げることでもある。けれども最後の1ミリを握っているのは、やっぱり自分。そこを教科書どおりに受け入れてしまえば、とたんに感受性がしゅんと萎んでしまう。 

「先に答えを知ると、本質に辿り着きにくくなる」の章に深く共感…。答えを先に求めてしまうのは現代に暮らす大多数の人たちが共通に持つ癖ではないかな。少なくとも私はそう!顕著に!

感受性を守るために、最後の最後で思考するプロセスを面倒くさがらないようにしよう。

社会の中は、あっちこっちバラバラな方向を指した矢印、矢印、矢印だらけ。だからこそ家の中では、自分を忘れないように、自分の矢印を思い出せる空間にしておきたいのだ。そして空間を、その空間に集めたものを大切にすることは、自分を愛してあげることでもある。 

そうして作られたご自宅のインテリアがなんといっても美しい。ジャンヌレのチェアに、紅葉する木々が窓いっぱいに映し出され…。映画のような光景。

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スタイリスト並みの美的センスを持ち、研ぎ澄ました五感を言葉にのせるのが上手で、極論に寄らないバランス感覚があり、さらに人へ届ける戦略的なビジネス感覚までも持ち合わせている美人。さらに親しみやすさまで感じさせるなんて…素敵な人だ。憧れちゃう。

でもそれって、自分に深く深く沈み込んで思考をしているからなんだということがよく分かった。

勇気づけられる本でした。おすすめです。